絵本作家C・V・オールズバーグの作品に「The Polar Express」という著作がある。
北極にあるというサンタクロースの街へ向かう列車と、その乗客の子供たちのファンタジーなのだが、
子供時代に思い描いた淡い夢や冒険心、純粋な心を思い出させてくれるような絵本だ。
以前に、ある特集番組でオールズバーグの制作風景を追っていたが、
既視感を誘うような彼独自の作品世界と、それを彩る絵の深さとシュールな味わいの秘密を垣間見たかのようだった。
さて、クリスマスという風習に馴染みなく育った僕にはよく分からないのだが、
現代の大人たちはいつ頃“サンタ”を“諦めた”のだろう。
大人になるにつれ、僕たちは何かを諦めていく。
夢や希望や理想。
そんな願いも、次第次第に現実という波間に儚くも消えて行くのだろうか。
“人”はいつから“自ら”を信じられなくなってしまうのだろう。
それは、人間だけが罹り得る“病”なのではないかと思うことがある。
1万キロ以上もの無着陸飛行に挑む渡り鳥や、自分の体格を遥かに上回る獲物に立ち向かうオオカミたちが、
自らの能力を疑ったとしたら、たぶんそこで“勝敗”は決してしまうことだろう。
“信じる”ことは思いの外深いところで、“生きる”ことに結びついている。
全ての“いのち”は“それ”を試される宿命にあるかのようにさえ、思えてしまう。
槇原敬之さんの楽曲、“超えろ。”の中にこんな一節がある。
「超えろ 自分の限界を
超えろ 昨日の努力を
超えろ 誰かの予想を
超えろ その力があると信じて
超えろ 今あるどのアイディアも
超えろ 目に見えない枠組みを
心が望む未来以外
君は欲しくはないはず」
胸が熱くなる。
今も、この先も、
自らを“信じる”ことに賭けてみたい。